- そこ
- I
そこ【其処・其所】〔「そ」は「それ」の意味の代名詞, 「こ」は所の意〕(1)中称の指示代名詞。 (ア)聞き手に比較的近いところ。
「ここから~まで5メートルある」「~で待て」(イ)今述べた場所。 そのところ。 「まっすぐ行くと薬屋があるから, ~を右に曲がりなさい」(ウ)今述べた場面。 その場面。 その時。 「友達と話し込んでいると, ~へ電話が掛かってきた」(エ)今述べた点。 その点。 「今安全だといわれたが, 実は~が問題なのだ」
(2)二人称。 多く目下の聞き手をさしていう語。 おまえ。 そなた。「入道殿, この弟御に~は申されぬかと宣はせければ/大鏡(為光)」
~と無(ナ)・し取り立ててそこという訳ではない。 一面に。 全体に。「柳のかげも~・く霞みふけゆく春の夜の月/風雅(春中)」
~とも知らずどこか知ることができない。「山里は秋の寝ざめぞ哀れなる~ぬ鹿の鳴く音に/続古今(秋下)」
~へ行くと(前に述べたことを受けて)その点に関しては。 そういう点から考えると。~へ持ってきてそういう状態のところへ, もう一つ加えて。 前に述べた事態に加えて, さらに。 その上。IIそこ【底】(1)容器やくぼんだものの一番下の部分。「~を二重にする」「鍋の~に穴が開く」「川の~が見える」
(2)積み重なったものの一番下。 また, 下部。「~になった荷物」「地の~」
(3)物事が進んで, 最後に行きつくところ。 また, 限界。「~知れぬ怪力」
(4)奥深くて, うかがい知れないところ。「心の~まで見透かされる」
(5)普段は表れない真の力量。「薄墨にも~はまさりてこそあるらめ/盛衰記 36」
(6)景気や株価の最低状態。 谷。⇔ 天井「相場が~を突く」~が浅・い内容に深みがない。 熟練度などが低い。~が堅(カタ)・い「底堅い」に同じ。~が知れない「底知れない」に同じ。~が割・れる話の結末や意図など, 隠しておきたい事がすぐに知れる。 すぐ見やぶられてしまう。~も有り蓋(フタ)も有り複雑な事情がある。~を入・れる(1)「底を突く{(2)}」に同じ。(2)十分に酒を飲む。「底ぬけは先~・れる/滑稽本・根無草後編」
~を打・つ取引で, 相場が底値になる。 底を突く。~を叩(タタ)・く中にあるものを全部出しつくす。 何もかもさらけだす。 底を払う。 底をはたく。「中間破の~・いてくはしく爰に記す/浮世草子・禁短気」
~を突・く(1)全部なくなる。 空になる。「食糧も~・いた」「資金が~・く」
(2)取引で, 相場が下がり切って, もう下がらない状態になる。 底値になる。 底を入れる。⇔ 天井を打つ~をはた・く「底を叩(タタ)く」に同じ。「財布の~・く」
~を払・うすべてを出しつくす。 底をたたく。~を割・る(1)隠し事をしない。 心の底を明かす。「~・って話す」
(2)取引で, 底値と考えられていた値よりさらに下がる。
Japanese explanatory dictionaries. 2013.